すきなものとか

すきなもののはなしとか、話したいこととか

安西慎太郎のはなし

2018年夏、推し俳優ができました。安西慎太郎さんといいます。現在はフリーで活動をしていらっしゃいまして、なんと今年のスケジュールは大体把握できているという具合です。今はとりあえず月末のイベントと八月の舞台の期待が大きいです。

 

安西慎太郎さんに出会ったのは「K」でした。当時Kにズブズブだった私はフォロワーに「舞台ロスモワを見ろ」と助言を頂き円盤を買って見ました。元々伏見猿比古というキャラクターが好きだったのですが、それを演じる安西慎太郎さんの事がとても好きになりました。

声の発し方が好きだな、というのが第一印象でした。言葉を大切にしてくれてる話し方をしている、私はそう感じました。私は単なる同人オタクですが、それでも言葉というものがとても愛しいので、それが本当に嬉しかったのを憶えています。

 

舞台「K―Lost Small World―」にはこんな台詞があります

「お前はもう、おれの世界にはいらない」

これがすごく、本当に、音も相まって凄く好きでした。親友を切り捨てたのがよくわかりました。見切りをつけたというか、もう興味が無い、そういう事がわかって、ああ小さな世界は粉々に砕けてしまったのだと痛感しました。

安西くんが好きになったのはここだったんだろうなと思います。

 

次に集めた円盤はテニミュだったかなと思います。白石くんの作画が良いというのとエクスタシーがたっか!?となった1stのオタクなのですが、ちょっと長らく貸してるので記憶があいまいですね笑 安西くんを推すようになってから繋がったフォロワーさまは皆様テニミュの頃からのオタクだそうで、なんというか、安西くんをここまで応援してくれてありがとうございます、という気持ちでいっぱいです。おかげで私は安西くんを知る事が出来ました。

 

その次が多分「四月は君の嘘」かなと思います。寝れなかった夜に見てベッドで泣いていたのをよく覚えています。この頃にはおそらくKの過去作も集めてるんじゃないのかな……。それで「四月は君の嘘」の話なんですが、これも印象的な台詞があって、最後の、

「君のいない春が来る」

この切ない絞り出すような言い方がとても好きでした。

(余談ですが私はバクステがとても好きなのですが主演バクステに全然いなくてめちゃくちゃ笑いました。)

 

多分このあたりでようやく安西くんの舞台を観劇しに行きます。舞台「RE:VOLVER」です。二回観に行きました。いつだかのブログに書いてますね。

これも印象的な台詞の話をしたいのですが、

「一度も忘れた事なんてねえよ」

あれを言った時の阿羅来さんの、もうその先を見越したような言い方が、本当に心に刺さりました。

「RE:VOLVER」はとにかく頭をおかしくしていた記憶(1)なのですが、あの世界の事を知りたいと強く思っていたので続編とても嬉しいです。これからも続いてほしいな……「RE:CLAIM」は二回、誕生日に観に行きます。楽しみです。いつか阿羅来さんの話も見たいな……。

 

「Phantom words」

千秋楽を観劇しに行きました。西田さんの舞台はそれまで円盤でも見た事が無かったのですが、一気に惹かれてしまいました……安西くんを推してていつも思うのは、私に素敵なものを教えてくれるひとだ、という事です。この話はまた後で。

国史に疎いのもあって楽しめるとは思ってなかったのですが、とても楽しかったです。最後の最後に出て来た安西くん、謎めいていて、ああもう一回見たいなあと思いながら約一年、ようやく円盤が来るそうで、やっともう一回見れます。楽しみです。正直記憶があんまりない。最後の最後と、あと呂雉ちゃんとキャッキャウフフしてるのかわいかったな~というおぼろげな記憶。舞台、最低でも二回は観るべきですね。この教訓また後で。

 

COCOON 月の翳り」「COCOON 星ひとつ」

先の「安西くんは私に素敵なものを教えてくれるひと」、これで痛感しました。「TRUMPシリーズ」は私には刺さりに刺さりまして、はじめての繭期で「TRUMP」を見て円盤を集めてから観劇に臨みました。

俯いて劇場から出るのは初めての体験でした。とにかくつらかった。「月の翳り」を観て、どうして、なんで、と思いながら劇場を出て足早に家に帰りました。きっとどこかで何か一つ、小さな事が違ったらあんな結末にはならなくて。僕を選んでくれというアンジェリコ様の懇願も、僕だって父さんみたいになれるかは、と不安を吐露しようとしたアンジェリコ様の弱音も、彼一人の中でしか鳴り響かなかったライネスも、最後の悲しみの質量も。「星ひとつ」での、ラファエロの死について自分の気持ちに気付いた所も。とにかくつらくて仕方が無かったです。

ところでアンジェリコフィーバーが最高でしたね。特典ディスクありがとうございました。めちゃくちゃ見てます。推しの顔が良い事をよくよく思い知りました。

 

「絢爛とか爛漫とか」

二列目でした。前の人で何も見えない。舞台はせめて二回行くべきだ、よくよく学びました。

先にも触れました通り同人オタクなのですが、というか小説を趣味で書いていまして、恥ずかしながら小説家になる夢を諦めきれない自分でありますので、これはもう泣くに泣くぞという心意気で臨みました。涙は殆ど出ませんでした。悔しいという気持ちが強かったのを思っています。古賀さんにとても感情移入してしまいまして、諸岡が辞めると言った時に拳を握ってしまったのを憶えています。才能というものは、とても怖いです。私も自分にあるとは思えません。だけど、それでも、古賀は小説を愛していた。

「俺には小説がある」

そう言って穏やかな顔で舞台の幕を下ろしたあの瞬間が忘れられません。私も小説を愛してる、小説に愛されてなくったって古賀さんのように私が小説を愛してる、それを思うと、なんだかそれまで苦しさがあった創作活動の楽しさを思い出せて、私にとってとても大切な作品になりました。

それともうひとつ。

「地獄はどんな所かしら」

あの台詞を聞いた時の、ぞっとする感覚、ああこれが役者なのか、と思いました。人に勧めたい舞台だったなと思います。円盤が無いのが残念で仕方ないです……私ももう一回見たかった……。

 

「聖★明治座 るの祭典」「納める祭」「ゆく年く・る年冬の陣」

購入したものと、フォロワー様にお借りしまして見ました。るひま関係を大体お借りしましてウハウハでした。

個人的に見る前に「納める祭」のマロセくんに気が狂うという夏を過ごしましてそこからのるひまだったのですが、「るの祭典」のおちゃらけてるのだか真面目なのだか(真面目だからこその全力だったのだろうと思います)な三成も、身の内を毒だと称した綿麻呂も、ただただ皆の希望であった重長も、私にとってとても魅力的なひとたちでした。

一番好きだったシーンはでも、仙台に幸村を誘うところかな、と思います。こんなにも希望を持った人間がいて、一時であっても幸村はそれを救いとして受け取って、そして最後には主君である政宗の事もさらりと救ってみせて、これまで陰のあるところの多かった(私が見た中では)安西くんの光の部分が見れたのが良かったと思います。

 

「Sin of Sleeping Snow」

いつ頃買ったのだったかちょっと今思い出せないのですが、再販になった時に即刻買いました。一人では背を伸ばして立つ事のできない勝頼が愛しくて、頭の悪い言い方になるのですがこれもまた頭をおかしくしました。

「あの時の答えだ」

言えなかったあの時の答えを、皆のいる今なら言える、あれがSSSの武田勝頼という人物の真骨頂なのではないのかなと思います。SSSの話は無限にできるのでこのあたりで。

 

明治座の変 麒麟にの・る」

全通でしたね……。もう二月も前の話なのが信じられません。ガチャよく回したなあ……。

二部が優勝過ぎたのですが一部のお芝居の話、でこれも印象に残った台詞。

「静かで静かで、うるせえな」

唇を噛んだのを憶えています。孤独に向かう彼が辛かったです。

それからこれはちょっとうろ覚えなのですが、森蘭が自害したシーンのあの台詞は、それでも目にかけていた子どもを目の前で敵として失った悲しみを抑え込んでいるように聞こえました。

あとラストシーン。声の優しさが切なくて、だけど微笑んで観ていたように思います。

一度も飽きる事が無く観劇出来たのが凄いなと純粋に思いました。今年も明治座で年を越したいです。

 

もののふ白き虎」

これもいつ買ったのかちょっと憶えてないですが、あんなに泣きながら円盤見たのは初めてでしたね。嗚咽。号泣。ちょうど風邪をひいていたので「うえっえっごほっごほげほおえっ」みたいになりながら見てました。

遺される、という事のなんとも言えない感情を、私も流石にこの歳なので理解しています。辛すぎて一回しか通して見れていないのですが、母親の口から語られる貞吉の言葉、「恋とはどんなものでしょう」、という、少年らしい言葉が彼の文にあった事がどうしようもなく心を絞られました。

 

心霊探偵八雲 祈りの棺」

もふ虎と同じ時に買った記憶があります。安西くんの舞台は結構ディスクになっているので大変ではありますが見れて嬉しいです。そういえばあと男水とかも持ってます。

これは台詞というよりも、目線というか、表情というか。そういう所に「嗚呼」と思いました。姉だけが拠り所だった青年の、過ちが苦しかったです。

 

と、こんな感じで今までの推し活を振り返りまして、先日千秋楽を迎えました安西慎太郎の一人芝居「カプティウス」の話を少ししたいと思います。

ものすごく正直に申し上げれば、私には脚本が合わなかったな、という事があって、二回観に行ったのですが、二回目は台詞は聞き流していました。アフタートークでは興味深い話を聞く事が出来ましたし、85分にも及ぶ安西慎太郎の演技を間近で観れたという経験は得難いものです。あと席がとにかく近かったので私はこのひとの造形も好きなんだなというのを改めて認識して来ました。

 

「カプティウス」やそこに至るまでのSNS等を踏まえて、色々考えて来て思うのですが、推しだから推しの全部を好きになる必要は無いのではないのかなと思います。それはもう信仰になるのかな、と思わないでもないのです。私は安西慎太郎という役者が好きだし、一観客として彼を応援したいし、相変わらず言葉の発し方も、お芝居も、今回認識した造形も、人柄も好きです。でも苦手な所もあります。推し方は人それぞれですが、私のような「ここはちょっと頂けない」というオタクもいると思います。大切なのは取捨選択ができるかどうかで、例えば私なら聞き流すとか、苦手なものは見ないようにするだとか、いわゆる自衛をしていく事が私のために必要な事なんだと思います。

何もかもが好き、それも愛の形だと思います。それを否定するつもりはありません。羨ましいとも思います。だけど丸一年と少し推してきて、私なりに、私にあった推し方が見つけられたような気がします。

次はる変の上映会と、「デュラララ」のチケットが取れています。願わくば素敵なものを教えてくれますように、そう祈りはしますが、別に教えてくれなくてもいいんじゃないかなとも思います。だってこんなに出てるんだから、それは勿論全部が全部私の好きな作品である訳が無いんですから。「カプティウス」でもありましたが、私はもしかしたら安西くんに「期待」というものをし過ぎていたのかもしれないですね。それでも彼が素晴らしい役者であるという私の認識は変わらないので、これからも応援していこうと思います。

 

安西慎太郎さん。私にとって、本当に、素敵な靴のような役者さんです。私を良い所に運んでくれる方です。私は良いファンでは無いのかもしれないですが、せめて良い観客であれるように努めようと思います。

 

結びが思い浮かばないのでこのあたりで。これがこのブログの最後の記事になると思います。今までありがとうございました。好きなものが沢山あるのだとわかって嬉しかったです。それでは。