すきなものとか

すきなもののはなしとか、話したいこととか

舞台「RE:VOLVER」の話

※10月21日加筆修正

※10月31日加筆

※2020年2月24日修正

 

先日ぶりです。前回も舞台の話でしたが、今回も舞台の話です。


舞台「RE:VOLVER」観劇して来ました。それも19日のマチネと、20日のソワレの2公演。ここしばらくはチケットを眺めてにやけるという遊びをしていました。どちらの公演も席は真ん中辺りで、19日は1階席、20日は2階席でした。見る場所が違えば見えるものも違うのだなと思いました。どちらも本当に楽しかったです。今回はネタバレも含んで話そうと思っているので、万が一これから見ようと思ってる方がいらっしゃいましたらお気を付けください。ちなみに大千穐楽ニコ生で配信です。

http://live.nicovideo.jp/watch/lv316318924

 


さて。「RE:VOLVER」は吉谷光太郎さん(私が知ってる作品だと「男水!」を手掛けた方で、だいぶ信頼して臨めました)の作・演出作品で、オリジナルストーリーの舞台です。

ストーリーがまず良い話をします。今月はK SEVEN STORIES Episode 4「Lost Small World ~檻の向こうに~」が公開していまして、少年たちの小さな世界と小さな世界だからこそより大きく見える存在みたいな話を常に(具体的には週2で)見ていて頭がおかしい自覚はあるのですが、第一声はこちら。「ロスモワじゃん!!」※ロスモワというのはLost Small Worldの略です。

聖木たちの暮らす城塞都市という世界はまさしくスモールワールド、その中に聖木の所属するスモールワールドがあり、こちらが私の大好物です。彼等5人だけの世界は小さくて、外の世界を目指す。好きなやつです。話はそんなところから始まります。

話の流れとしては少年時代に失敗した城塞都市からの脱出計画の再チャレンジなのですが、それだけに留まらないのはやはりキャラクターの魅力なのだと思います。メインになるキャラクター5人は少年時代の作戦失敗の後ばらばらの道を歩むことになり、再会はなんと12年後。それぞれの立場はとても変わっていて、でもなんだかんだ、関係は変わらなかったのだな、と思います。

 


書き出すと長くなるのでメインの5人の話だけさせてください。

まずは聖木。主人公です。ジャンプというよりはスクエア寄りかな?というかんじの頭の切れる少し擦れたかんじの青年です。盗賊の彼が一枚の設計図を盗み出した事から話は動き出します。

聖木役の植田圭輔さんは只今布教されてる真っ最中でして、そもそも私はロスモワに死んだ女なので舞台版の「Lost Small World」で植田さんには殺されている訳ですが、とにかくよく見ている役者さんです。ペダステとかインフェルノとかを私は見ていて、でも今回の舞台は見ていて「美咲……」と思って、しまって、なんというか元相棒(親友)がいて再結成とか、向こう見ずなところがあったり、阿羅来さん!って慕ってる姿が尊さん!って言ってる姿に重なったり、美咲ってはまり役だったんだなあという感じです。ロスモワの話は置いておいて、聖木はやはり、リーダーではないのだろうなと壬浦を見ていると思いました。リーダーは全体を見ていなければならなくて、カリスマはあるけれど目の前のものに集中してしまう聖木はやはりリーダーではないのだろうなと。


そんな聖木を支える、ではないですが、背中合わせに立つのが伊透です。彼は計画の失敗後、親友だった聖木から離れて帝国軍の犬と称される刑事になります。それも信念などを抱いての事なのですが、聖木は刑事が大嫌いで、再会早々二人は戦います。それでもかつてみた夢や抱いた思いがあって二度目の脱出計画に関わっていく、たいへんに格好いい私好みの二番手のキャラクターです。

伊透は過去に組んでいた相棒の刑事と死別しています。そのシーンもなのですが、「RE:VOLVER」はとにかく失ったシーンを繰り返します。これがつらい!けど好き!ロスモワロスモワ!!伊透の構築していた相棒との世界も失われているという事ですね。また後で触れますが「RE:VOLVER」はスモールワールドとロストスモールワールドがいっぱい詰まった舞台です。

また俳優さんの話になってしまうのですが演じている橋本祥平さんは私の「あんさんぶるスターズ!」の推し月永レオを演じてくださった方で、この舞台好きな役者さんたくさん出ててすごく楽しいです。月永とも、それから刀ステの貞ちゃんとも違う、クールな橋本さんが見れて幸せです。


玄汰と壬浦は二人で一つ。失われていない小さな世界を抱きつつ外の世界を目指します。白状しますとこの二人ほんっっっとうに好きです。クロちゃんと言って玄汰を励ます壬浦の可愛さと言ったら!健気と言いますか、玄汰のために行動する事は壬浦にとって当然で、夢は玄汰に貰ったもので、大切なものも玄汰に貰ったもので、玄汰の一言で大きな行動を起こすこともできる。玄汰も玄汰で壬浦の前では気を張らずに(気を張る、という部分は、ぜひ見て知ってほしいです笑)過ごすことができる。壬浦の終盤にみせる玄汰に起因する行動の必死さとかは正直に申し上げますとたいへん美味しかったです。玄汰と壬浦はズットモだよ!


阿羅来の話です。多分猛烈に長いです。

3次元には人生の半分推してるアイドルがいるのですが、それとは別にここ最近めちゃくちゃに推してる俳優がいます。安西慎太郎さんです。もう何度も名前を出しています「K」というアニメがありまして、夏頃に再熱して見事に沼ってます。中でも八田美咲と伏見猿比古に視点を当てました「Lost Small World」が私の墓場でして、現在その作品の前半戦を映画化したK SEVEN STORIES Episode 4「Lost Small World ~檻の向こうに~」が公開中なのでぜひ見てください。そして舞台を見てください。なんと主演は植田圭輔さんと安西慎太郎さん!私がロスモワロスモワ言ってる最大の理由がこれです。ボルステは実質ロスステです。

安西さんの声の発し方がとても好きでして、私は演技の事はさっぱりわからないのですが彼の言葉を聞いているのが好きです。息が残るというか、余韻の残る話し方をされる方です。一言一言を大切にされてるんだろうなと。一つ挙げるなら、「一度も忘れた事なんてねえよ」が今作はやばかったです。20日のソワレの方じわじわと鳥肌が立つようで……。

そんな大好きな役者さんが出てる舞台、実は初観劇でして、もうずっと楽しみにしてたんですよ。そうしたら設定もりもりで好きな人間演じててくださってもう大喜びです。阿羅来は帝国軍人の父を持って生まれ、その立場から抜け出せなかった人です。自身も軍人でありながらその身分を隠し、少年時代には聖木たちのリーダーとして、城塞都市からの脱出計画に加わります。阿羅来は4人の兄貴分で、特に聖木から慕われています。しかし最初の脱出計画の際、その身に銃弾を受けて4人の前から姿を消します。形見のように、一丁のリボルバーを聖木に託して。

聖木が英雄の子孫という立場に縛られない事に対し、阿羅来はただただ帝国軍総司令の息子という立場にとらわれた、そして強い信念を持った人でした。城塞都市の事を、そしてそこに生きる全て(この場合は、全が一であるという意味合いで)の人のことを阿羅来なりに考えて、考えて、考えての行動だったのだと私は思っています。

 

その場のスイッチのような存在だった抹尹、悪党を演じ切ってくれた鷹城、腐敗の象徴のような倭潮、突然のリサイタルに笑わせてくれた衣澄、憎みきれない策間。そしてアンサンブルのみなさん。全ての人々が魅力的でした。

 


「RE:VOLVER」はとにかく目まぐるしかったです!ともすれば置いていかれそうな速さで物語は進みますし、人の思いも変わっていきます。振り落とされないように必死な2時間半でした。アクションも凄くて、私は本当に舞台に関してはど素人なのですが、乱戦の時も一対一の時も、ダイナミックで目を全く逸らせない素晴らしいものを見せて頂いたのだとわかります。とにかくかっこよかったです!特に壬浦、私は櫻井圭登さんは舞台「あんさんぶるスターズ!」の紫之創しか見た事が無かったので、えっこんなにかっこいいの!?とあたふたしてしまいました。


ところで19日に吉谷さんがツイッターで聖木と阿羅来の喧嘩のシーンについてこんな事を仰ってました


「大人になって纏った服飾も外部からの作られた感情も必要ないのだと思います。」


外部からの感情ってなんだろう?と思いまして。それは聖木だったら英雄の子孫ということや周囲の期待とかで、阿羅来なら立場、だったのかなと思います。あんなに笑い転げる人だったのに、軍服を着た阿羅来はにこりともしない。感情一つ見せなかった阿羅来の唯一の感情の滲む言葉が、「一度も忘れた事なんてねえよ」でした。自分の感情に従順な聖木の、阿羅来さん、と呼ぶ声にも、たくさんの、もしくはたったひとつの感情が宿っていました。


「RE:VOLVER」は夢を見るという現実についての物語だったように思います。夢は見るだけでも夢で、それはまさしく夢心地で素敵なものです。でも必ず叶う訳でも、望んだ形で叶う訳でも無い。それが現実です。辛くても生きている世界はそこにあって、その中で這ってでも進んでいく、そんな物語でした。


長くなりましたが、最後に20日ソワレの話を少し。安西さんのアドリブ全開でしたね!!!!聖木のことをパパイヤ鈴木と言ったりスマホ取り出したりもうやりたい放題で、昨日も面白かったですが、今日のこの回見れて良かったと心の底から思います。

ボルステありがとうございました!最後まで振り切る程の速さで突っ走ってください。

 

 

配信見ました。

殆ど見入っていてメモもろくに取れなかったのですが、表情が見れたの凄い嬉しかったです。阿羅来あんな顔してたんだな…とか、植ちゃん声が違うすごいすき、とか、そんな事を思いながら見てました。それからこの十日ほどずっとボルステの事を考えていたので、その事を少しだけ。

 

まず勘繰った阿羅来の言葉の裏の話。

監獄の玄汰に「少年期のように自分のタイミングで実行できると思うな」というのは、つまり「俺のタイミングで始めるからな」みたいな意味なのかな?と。安西さんのブログを読んでいて思ったのですが、城塞の一部を開いたのはやっぱりそこから聖木たちを外に出すためだったんだろうな、と……。

最後の方の「大義名分を~」という所は「止めてくれ」、「少し昔の事を~」というのは親の命令を無視しだす事を言っているのかなとかも、この辺りはメモがあやふやなのですが思いました。また安西さんのブログの話になるのですが阿羅来は「自害」するつもりでいて、というのが最高に胸を抉りまして。阿羅来はあそこで死んだ方が幸せなんだろうなとは思っていたのですが、本当にそうなってしまうと悲しいですね……。生きて再会してほしいファン心理ですが、信念を貫いてほしいとも思ってしまいます。完全余談なのですが推しの命日が日替わりなのは初めての経験でちょっと泣きながら笑いました。

 

次に都市海賊の成長についての話。

ツイッターで話していた事の引用になりますが、聖木は阿羅来に勝てる日が来るなんてこれっぽっちも思っていないし勝とうとも思わなかったし、ただその帰りだけを待ってリボルバーを大切にしていたけれど、そのリボルバーを放ったのはつまり、あそこで阿羅来からの自立を果たしたと言う事で、疑似親子のような関係から一歩進んだんですよね。聖木は親こそ喪ったけれど、その後阿羅来を得て。成長はそこで止まっていたんじゃないかなと思います。子どものままだったから「十二年前の夢」の続きである壬浦の誘いにも二つ返事で乗ったんじゃないかなと。そしてその阿羅来に勝つ事でようやく超えて、あの少年時代から一歩前へ進む事が出来た。だから、聖木はあそこで「大人」になったんだろうなと。

対して伊透は阿羅来を正しく“喪って”、刑事になる事で自立を果たしている、という対比があるような気がします。伊透は大人だったから最初は誘いに乗らなかったし、大人つたから大人の方法で誘いに乗った。

壬浦は新しい親を得たから子どもらしく育つ事が出来て、玄汰はリーダーになる事で大人でなくてはならなかったけれど、心は完全には追いつかなくてあんな感じにアンバランスになってしまったのかな、と。

 

吉谷さんのツイッターなど見てると続編無くはないんじゃないのかななんてソワソワしてしまいます。「RE:VOLVER」の世界とそこに生きる人々が本当に好きなので切実に待っています。とりあえずは円盤が届く事を心待ちに、まだまだボルステの事を考えながら生きていきたいと思います。ボルステ本当にありがとうございました、おかげで毎日とても楽しいです。